●まずはおさらいから
倍音にセブンスコードが含まれて居るから・・どの音も完全4度上に解決したがる
それをドミナントモーションという。
前回の章でⅠ→Ⅳ や Ⅴ→Ⅰというコード進行が
よくある理由が分かったと思います。

本章ではその話をさらに発展させて
あらゆるコード進行の名称を紹介していきます!

●ドミナントモーションの仲間たち
完全4度上に解決したがる魔術を使えば、あらゆるコードバリエーションを
奏でることができるんだ。

例えば、次のようなコード進行とメロディがあったとする。
C→G7→C
15_1

後半の赤丸の部分は G7→C という Ⅰ→Ⅴ の進行、つまり
ドミナントモーションになっていることが分かるよね。

Ⅰ→Ⅴ の進行をさらに、ドミナントモーションで分解することができるんだ。
G7の4度下のコード、つまりDm7(ディーマイナーセブンス)を間に入れることで
C→Dm7→G7→Cというコード進行に分解できるんだ。
15_2

これを「Ⅱ→Ⅴ(ツーファイブ)」といって
躍動感のある、作曲では重宝するテクニックの一つなんだ! 
よく一番盛り上がる瞬間の一歩手前の「助走」として
このアプローチがよく使われるよ。

音楽の躍動感を加速させることから
日本語ではこの進行のことを「強進行」と言ったりもするから覚えておきましょう!


●ツーファイブを発展させた大技

ドミナントモーションの力を借りれば
このDm7は、D7(ディーセブンス)に交換することもできるんだ。
さっきの曲をそのまま使って、Dm7をD7に交換してみると・・?
15_3

どうでしょう。とても爽やかな雰囲気になりましたよね。
D7の部分だけ、ちょっと色が変わったような雰囲気になるのがわかると思います。

D7は実は他の調のコードで、これをノンダイアトニックコードと言うんだけど
ツーファイブを利用すれば、特別に他の調のコードを使えるんだ。

D7はもともとGメジャースケールの音で
この部分だけ「部分転調」しているってことになるよね。
ツーファイブの躍動感を利用して他の調のコードを借りて
転調するテクニックを、セカンダリードミナントと言うんだ!
作曲で転調してみたい時に一番スムーズに転調できることから
よく使われるテクニックの一つだから覚えておいて損はないはず。



●ツーファイブを発展させた必殺技
ツーファイブの凄いところは
「マイナーコードも分解」することができるんだ。

例えばF→G→Amというコード進行があったとします。
15_4



AmコードをⅤに例えてツーファイブに分解すると
4度下のEm7を加えて F→G→Em7→Amというコード進行に分解できます。
15_5

そしてここからの話がミソ。
もちろんセカンダリードミナントを使えば
Em7をE7に交換することができるんです。
E7に交換すると新たにF→G→E7→Amという進行が出来上がります。
15_6

すごく哀愁感のある、切ない雰囲気になりますよね。
思いっきり誰かを感動させたい時は、このマイナーコードのセカンダリードミナントを使えば

きっと、イチコロです。

●セカンダリードミナントの他の名称
このテクニックはとても歴史が深くて、世界中の音楽家が挙って使ってきたテクニックだから
いろいろな呼び方が生まれていったんだ。
ドッペルドミナント
ダブルドミナント
呼び方は違うけど、どれもセカンダリードミナントと同じ意味だから
覚えておこう!

次の記事へ続く